アクセサリーデザイナーの待遇
前回の記事でざっくり学生から最初の会社、そして転職まで振り返りました。
ので、今日は転職活動について書こうかなと思っていたのですが、特に書き留めるほどのエピソードが無かった・・・
普通に面接を受けて待遇の良い方を選びました。
今回は待遇について私の知る部分だけになりますが書いて行こうと思います。
まず、アクセサリーデザイナー(新卒)の基本給
学生の頃に就職活動でいろいろ調べましたがだいたい平均16〜17万スタートが多いです。とても低い。
更に有限会社のような少数規模のアクセサリーメーカーは残業代無し、休日出勤は当たり前。保険無し、交通費手当無し、ボーナス?なにそれおいしいの?レベルがザラ。
で、転職活動アクセサリーデザイナー(中途・5年経験者)で提示されたお給料
最低額が20万(基本給15万に+手当5万の合計金額)
最高額が30万
5年キャリアを積んでもこれなんです。
ちなみに15社くらい面接して10社くらい内定頂きましたが手取り18万以上を提示してくれたのは最高額の会社だけでした。
あと気をつけたいのが手当でお給料を水増ししてくる会社。
求人サイトには「24万円!」とか書かれてますが面接でよくよく内訳を問いただすと手当ばっかりで基本給が14万とか15万とか・・・
ボーナスの計算は基本給基準なので、(そもそもボーナスもまともに出ませんけど)生活が苦しくなるレベルです。
結局のところ給料が低くても低待遇でもデザイナーになりたい!っていう若い女の子が多いから改善されないんですよね。
更にアクセサリーってジュエリーと違って圧倒的に若い人に向けた需要が多いので必然的に必要なのは「若い感性のデザイナー」
若い子を安月給で使い捨てる会社の多い事・・・
ただし、大変希少ですがきちんと正社員雇用でお給料を払ってくれる会社も存在します。
私はたまたま毎回良い会社に巡り会えていてそこは運としか言いようがありません。
働いてお給料をもらうという感覚で就く仕事ではそもそもないのかも。
前にも書きましたが「タダで作りの知識を学べてお小遣いもらえちゃう塾」くらいで考えるといいです。
OEMメーカーで良かった!と思う事
メーカーに所属するデザイナーの最大の利点は「もの作り」の知識を得られる事です。
生産背景を知る事が出来る。
職人さん、工場さんとの関係を築ける。
OEMをこなすと自分に無かったデザインの幅を広げられる。
客先のアパレルのデザイナーさんからもデザインのいろはを学べるってことです。
結果論ですが私は最初に入った会社がOEMのメーカーで本当に良かったな〜と最近しみじみと実感します。
そこだけは自分のノリを信じて良かった!と 笑
デザイン会社だとデザインだけで、実際に作れるものを考える力が養われない。
OEMではなく初っ端からODMだと、1つのブランドだけでデザインの引き出しが埋まってしまい可能性が広がらない。
これ、一生同じ会社に勤める前提の人はいいんですけど転職するときにデザイナーとして致命的な差が出ます。
私も転職して実感しました。
続きを読む海外工場とのやりとり
最近のアクセサリーメーカーはほぼ海外生産も兼用しています。
国産だけだともう単価が合わなかったり、生産スピードの問題もあります。
ので、メーカーに入ると「日本での量産」と「海外での量産」それぞれの知識がまた必要です。
前回の記事で書いた通り国内生産はもちろん対日本人でのもの作りなので私に知識が足りなくても職人さんがフォローしてくれます。
けれど海外生産の場合、そうはいきません。
私は今までに韓国、中国、台湾、インド、フィリピン等の工場さんとやりとりしてきましたが何が難しいって「かわいい」を伝える事です。
ハートのパーツ1個を取り上げても
・形状がぷっくりしていてほしい
・色は淡いピンク色が良い
これが伝わらないんです。
日本で可愛いとされるぷっくりピンク色と、向こうで可愛いと思われるぷっくりピンク色が違うからです。
感覚の差をどうやって説明するのか、未だに悩むことも。。
日本ではハートで!いい感じで!
の一言で通じていたものが向こうでは実物見本を送っても、違うものになってしまう。
どうやったらわかりやすいデザイン画、仕様書・説明書を描けるんだろう?
どうしたら工場さんに伝わるんだろう?
感覚のズレや仕様書のコツをつかむのに1年くらいかかった気がします。。
けれど、だんだんと伝わるようになってきてイメージ通りのものが出来上がったときには国産とはまた違った達成感があります。
何年も一緒にお仕事をして、今では「いいかんじで!」で、お互いに伝わるようにもなりました 笑
アクセサリー会社に入社して
そんな感じで、毎回作るものも違えば使用するパーツも多岐にわたるためデザイナーの仕事手順に正解とか、きまりは無いと未だに思ってます。
更に言えば私が入社した会社に限らず、大体のメーカーは新卒のデザイナーを育てるってたぶんしません。(偏見ですか?笑)
というかできません。
だって自分たちも育ててもらわなかったから育て方がわからない。
特に私の勤務していたデザインチームは一番上の上司が放牧主義だったので完全なる放し飼いでした。
ただ私の職場はとても恵まれていて先輩デザイナーみんなが優しかった。
質問すれば嫌な顔ひとつせずに答えてくれた。
元々、人からああだこうだ指示される事が死ぬほど嫌いな正確だったのでこちらから行かないときは放置で、質問には答えてくれる環境がとても居心地良かったんです。
そして先輩デザイナーは勿論ですが一番私を育ててくれたのは取引先の職人さんでした。
何十年もその道で働いてきた人からもの作りについて教えてもらえる。
これが楽しい!それに、こんな貴重な経験ができるのはメーカーだからこそ。
自分では思いつかなかった加工方法や考え方、仕事の段取り、不良への対処方法。沢山の事を教えてもらいました。いまも教えて頂いています。
職人さんは自営業で自宅の一角で作業されている方も多く、
サンプルを依頼するときは自転車でお家まで言ってお仕事依頼するんですけど
「おやつあるよ!」から始まって
お菓子をつまみながらお茶飲んで、世間話しつつ会社を愚痴りつつ
気が向いたらサンプルの商談をする 笑
このお茶会が無ければ残業も減ったのかも・・・でもそのお話からお互いの人となりがわかって、この人だからこういうお仕事お願いしたい!
この人ならこのデザインも作れるはず!
という信頼関係に繋がるんですね。
職人さんは私にとってお茶飲み友達だし、大好きなおじいちゃんで、お仕事の大先輩で先生です。
アクセサリー会社のお仕事
最終的に面接に受かった会社に在学中からアシスタントのような形で入社し、卒業後はそのまま正社員登用となりました。
私が入社した会社はアクセサリーのOEMメーカー。
大まかに言うとアパレルブランドからの依頼でアクセサリーのデザイン提案から量産までを請け負う会社です。
依頼と言っても客先によって様々で
・きっちりデザイン画を描いて依頼書として渡される
・雑誌の切り抜きだけ
・実物を渡される
・来期の洋服のイメージを伝えられてそこからこちらがデザインを考える
・指示無し、完全にこちらからの提案待ち
ほんとうに色々です。
お客様からデザインやイメージが出てくる場合はまずそれが実際に作れる仕様なのか?
単価は希望価格にハマるのか?
チェックして作れない仕様なら修正デザインを考えて提案するし、値段が合わなければこれも代案を考えて提案。
実物を渡された場合も同様ですね。
例えばフランス製のネックレスとかを持ち込まれてこれと同じにしてと言われても、仕入れられるパーツも、メッキの色目も国によって違うからです。
フランスはちょっとくすんだ色味
中国はちょっと赤みが強い
韓国は白っぽい
日本は黄色い
これをひとつひとつ説明しつつ、日本で作れる最前案を出すわけです。
日本の中でもメーカーによって抱えている工場、繋がりのある職人さんにより得意不得意が出てきます。
ので、日本製だとしてもどこのメーカーでも作れる訳ではないんですね。。
こちらから提案の場合はお客様のブランドイメージ、客層を理解した上でその時期の流行をブランド用に落とし込むところからはじまります。
OEMというと、言われたデザインをそのまま作るだけと思われがちですがかなり考える事が多いですね。
そしてメーカーですから、デザインだけではなく勿論生産〜納品までを一括で担当します。
そのためデザインの生産性、不良率、納品の効率まで考えたデザインを考える事が何より重要。
1個は作れるけど、これは手間がかかりすぎて千個は作れない!
とか
作れるけど6割の確率で不良が出る
とか。
デザイナーとは言いつつも
お客様に仕様を伝える・お客様の意図を汲み取る営業力
生産性や納期・不良率に対する知識
最終的にアクセサリーをデザインして作って売るところまで全部の知識が無いと出来ないんですね。メーカー所属のデザイナーって。。笑
私は作る事も好きだったので、「お給料もらってアクセサリーの塾に通える」ような感覚で割と楽しかったのですが
デザインだけをしたい!と思い入社される方はかなり短いスパンで退職されていました。
いつも思うんですけどアクセサリー会社の求人はもっと業務内容を明確に書いた方がお互いに良いと思うんですよね。
デザイン!きらきらアクセサリーに囲まれてたのしい!
とかいうふわっと求人見るたびににやにやしてしまいます。
アクセサリーデザイナーになるには
就職活動ではもちろんアクセのデザイナー希望でいろいろと面接を受けました。
学校の求人掲示板にあった会社は片っ端から受けて、落ちまくりました。
ギリギリの所で採用を頂いたので今こうして生きていますが就活うまく行ってなかったら確実にニートしてる自身があります。
アクセサリー企業の面接についてまとめると
面接回数 2〜3回に分ける事が多い
実技 簡単な絵型をその場で描く、ブレスレットを組み立てるとかありました
服装 私服指定が多かった
持ち物 履歴書、作品、ポートフォリオ
こんな感じです。
まず面接回数、大体最初は実務担当のデザイナーさんがいらっしゃる事が多くてこの段階で
・この人のデザインは企業に合っているかどうか?
・職場になじめるか?
を確認します。
2〜3回目は部長や社長、営業さんの最終ジャッジですね。
ちなみにポートフォリオというのは自分の作品集です。
今まで描いたデザイン画や作品の写真を綺麗にファイリングして写真集みたいにしたものを提出します。
これが会社のデザインに合わないとどんなに学校での成績が良くても不採用になるので、会社のブランドイメージに合わせてポートフォリオも作り直さないといけません。
更にデザインが優れていても、会社の既に在籍しているデザイナーと気が合いそうか?馴染めそうか?というところを重視する会社も結構多いです。
もうこれは運なので変に繕わずに素のまま面接を受ける事をオススメします。
そうでないと入社してから大変なので。。
アクセサリーの会社ってどんなものがあるのかも簡単にですがまとめます
続きを読むアクセサリー専門学校で学べる事
私は2年間専門学校に通った訳ですが、結論から言うと
「専門学校で学んだ事はほぼ会社で役に立たなかった」
です。
良かったところはアクセサリーの専門学校ですから就職先のコネが沢山あって就活にはやはり便利。
あとはもの作りが大好きなので2年間とにかく楽しかった。
ぐらいですかね・・・
選択したコースにもよりけりだと思いますが。
ジュエリーデザインプロダクトコースでは
・貴金属、宝石の種類や取り扱い知識
・フリーハンドでデザイン画を描く方法
・CADを使ったCG原型の基礎
・Illustrator、Photoshopの基礎
・超基礎的なマーケティング
こんな事を学んだ記憶があります。
ジュエリーデザインには必要な知識ですが、アクセサリーデザインに必要なのはイラレフォトショとマーケティングぐらいですね。
じゃあなんでジュエリーコース選んだんだよ!といえば、デザインコースはジュエリーしか無かったんです。ノリで学校決めるのはやめたほうがいいですよ。。
あとこれは校風だと思われますが「オリジナリティ」「特異性」「作家性」をとても重視していたなと今になって思います。
デザイン画や作品の評価が、奇抜であればあるほど賞賛される。
作品を作るのにどれだけ手間をかけたか、時間をかけただけスゴいというような。
それは作家には必要なのかもしれませんけど、後述する企業デザイナーでは一番不要なものです。
ぶっちゃけアクセサリーデザイナーって必要な国家資格とかが1つも無い職業なので自分で「私はアクセデザイナー」と思えばもう、なれるんですよね。
結論から言うとアクセサリーデザイナーになるのに専門学校へ行く必要は無く、センスがあれば誰でもなれます。
ただ就職する時にデザイン系学校に行っていた方が若干有利なくらいです。